-舌がん治療の「小線源組織内照射」-


舌がん治療の「小線源組織内照射」

舌がん治療の後遺症

日本では、毎年3000人ほどが新たに舌がんを発症します。そのうち90%の患者さんが、手術を受けているとみられています。

がんの直径が2センチ未満の1期なら、周囲1センチを含めて切除して終わりますが、がんが2-4センチの2期ともなると、欠損部分を本人の腕や腹の皮膚を移植して補うことになります。

しかし、「形成手術で形は戻せても、味はわからなくなるし、言葉も不明瞭になる」と、東京医科歯科大放射線科教授の渋谷均さんは指摘します。舌がんの1割は舌の先端にできますが、その場合は切除範囲が小さくても、発音が「舌足らず」になります。


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小線源組織内照射

こうした後遺症を心配せずに受けられるのが、「小線源組織内照射」治療です。放射線を放出するセシウムなどの針を刺し入れる方法と、まずチューブを入れ、その中に放射線源を通す方法があります。

同大学病院では、治療は耳鼻科用のいすに座った状態で行います。局所麻酔をし、ピンセットのような器具で、長さ4センチほどの針を刺し入れていきます。

がんの厚さが8ミリ以下の場合はイリジウム針、これより厚い時はセシウム針を使用します。病巣の位置や年齢によっては、放射線を出す金粒子も使われます。

事前に患者さんごとに照射線最を計算して、エックス線写真で針の位慨を確認しながら、7日前後で計70グレイの線量を当てます。

治療の際に重要なのが、あごの骨を守るアクリル製のマウスピースです。下あごの骨は舌の瑞に接しており、この保護がないと、放射線の影響で骨の組織が死ぬことがあります。

治療対象は舌がんの1、2期で、5年後の生存率は約80%です。手術と変わらない治療成績にもかかわらず、あまり普及していないのは、患者さんが受診する耳鼻科や口腔(こうくう)外科では、小線源照射について説明しないことが多いからです。その緒果、放射線治療を知らずに手術を受け、後遺症に悩む患者さんは少なくないそうです。

舌がんの小線源照射には、保険が適用されます。費用は部分切除のみの手術とほぼ同じ20万円前後で、患者負担はその1-3割です。形成手術も伴う2期の手術が50万円以上になるのに比べ、経済的にも優れています。

最近は、放射線治療を希望する患者さんも増えています。渋谷さんは「治療する医療機関の設備や医師の技量も十分確認してほしい」と話しています。

舌がん治療の病院選択

舌がんの治療をする時の病院の目安として

1.年間10例以上は実施していることが望ましい。

2.施設または主任医師に50例以上の経験がある。

3.施設または治療医師の治療成績が明らかになっている。

4.依頼して1か月以内に治療を開始できる。

5.患者ごとに照射線量を計算している。

6.患者ごとにマウスピースが作られている。

などがあげられます。


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広がる「小線源組織内照射」治療

「小線源組織内照射」は舌がんの他に口腔がん、頭頸部がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、子宮頸部がん、肺がんなどの治療に使われています。

関係医療機関

東京医科歯科大放射線科


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口内炎の治療ガイド

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